蓄電池の赤本の、吉永健之です。
固定買取期間が2019年11月以降、順次終了する太陽光発電の2019年問題の解決策として、蓄電池の設置は、とても有効な手段です。
蓄電池選びで、自家消費のメリットを最大限に生かすために、最も重要と言えるのが、太陽光発電との相性です。
太陽光発電との相性が悪ければ、せっかく高い値段で購入した蓄電池の性能を生かせずに、経済的メリットを十分に得られなくなってしまいます。
そこで、今回は蓄電池選びをする上で重要となる、太陽光発電との相性について、取り上げたいと思います。
目次
1日分の余剰電力を全部貯められるかが最重要ポイント
蓄電池に貯められる電気の量は、容量と言います。
太陽光発電との相性を見る上で、これまで電力会社に売電してきた1日分の余剰電力を、蓄電池に全て貯められるだけの十分な容量があるかどうかが、最も重要なポイントです。
蓄電池の容量が、売電量よりも多い場合は、余った電気をムダにすることなく貯められます。
まず最初に行うべきことは、蓄電池の容量を節約できる賢い電気の使い方!
ここで、太陽光発電を設置した皆様の多くは、なるべく売電量を増やすために昼間の電気の使用を少なくする使い方をされていると思います。
なぜなら、昼間に太陽光発電で発電した電気は、電気料金よりはるかに高い値段で売れるからです。
売電を増やすために、洗濯機など電気使用量の多い電化製品を、太陽が沈んだ夕方以降に行う習慣が身についた方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、2019年以降の固定買取期間終了後は、蓄電池を設置の有無に関わらず、「昼間に電気をなるべく使わない習慣」を180度変える必要があります。
なぜなら、固定買取期間終了後は、昼間に発電した電気をなるべくその時に使った方が、オトクになるからです。
蓄電池を購入する場合も、この「昼間になるべく電気を使わない習慣」を続けると、蓄電池の容量が必要以上に大きくなります。
蓄電池の容量が大きくなればなるほど、価格も当然高くなります。
そして、蓄電池には「充放電による損失」があるので、貯める量が多ければ多いほど、損失が増えて電気がムダになります。
ですので、洗濯機など消費電力の大きい電化製品はなるべく昼間に使い、「蓄電池へ貯める電気を少なくする習慣」にシフトする必要があります。
固定買取期間の終了後は、蓄電池の設置の有無にかかわらず、全ての方がなるべく昼間に電気を使わずに売電量を増やす習慣」から「なるべく昼間に電気を使う習慣」に切り替えなければなりません。
蓄電池を設置する場合も、「なるべく昼間に電気を使う習慣」にシフトして、余剰電力を減らし蓄電池の容量を節約することが必要です。
そして、余剰電力を可能な限り減らした上で、蓄電池の容量を検討することで、蓄電池にかかる初期投資を減らし、充放電による損失を抑えられます。
余剰電力と蓄電池の容量とのバランス
可能な限り昼間に電気を使い、余剰電力を減らした上で、その余剰電力と蓄電池の容量とのバランスを考えます。
蓄電池の容量が、売電量より大きい場合
蓄電池の容量が、余剰電力(売電量)より余裕を持って少し大きい場合は、余った電気をムダにせずに貯めることができます。
蓄電池の容量が、売電量より小さい場合
蓄電池の容量が、余剰電力(売電量)より小さい場合は、貯めきれない分の電気を、電気料金よりも安い値段で、売電しなければなりません。
蓄電池の容量が、売電量に比べて大きすぎる場合
では、蓄電池の容量が大きければ大きいほど良いかというと、そうでもありません。
蓄電池の容量が大きすぎる場合は、初期費用が高くなってしまうため、投資費用の回収に時間がかかったり、最終的な収益が赤字になってしまう恐れがあります。
蓄電池の容量と余剰電力量のバランスが重要
余った電気をムダにすることなく貯めて、経済効果を最大限にするためには、蓄電池の容量と太陽光発電の余剰電力のバランス、つまり相性が重要になってきます。
太陽光発電との相性をより良くするためには蓄電池の容量が、これまでの最大売電量の電気を、余裕を持って貯められる容量が望ましいでしょう。
そこで、これまでの最大売電量の余剰電力を、全部貯められるだけの容量が蓄電池にあるかどうかが、重要なポイントになってきます。
そしてここで注意していただきたいのは、蓄電池の容量にもいくつかの種類がある点です。
では、蓄電池の容量はどこに注目すれば良いのでしょうか?
容量は「寿命を迎えたときの実効容量」が重要!
以前の記事「蓄電池の価格・諸経費とスペックの関係とは?」の「蓄電池の実効容量とは?」でも取り上げたとおり、メーカーが提示する性能上の容量と、実際に使える容量は違います。
そして、実効容量は、性能上の容量より小さくなります。
これは、以前もお話ししたとおり、蓄電池の性能上容量をギリギリまで使うと、寿命を縮めてしまうためです。
この実効容量は、多くのメーカーで「初期実効容量」として公表しています。
そして、なぜ「初期実効容量」と「初期」がつくのか、疑問に思った方も多いでしょう。
実は、実効容量は、蓄電池が充放電を繰り返す内に、少しづつ減っていくからです。
多くのメーカーでは、この実効容量が、新品の初期状態に比べて70%~80%などの、ある割合にまで減った段階で、寿命としています。
ですので、初期実効容量をもとに蓄電池選びをすると、時間の経過と共に実効容量が低下し、余った電気を全部貯められない恐れがあります。
そこで、寿命を迎えたときの実効容量を元に、蓄電池選びをする必要があります。
寿命を迎えたときの実効容量は、公表していない場合が多いので、購入を検討する段階になったら、販売担当の方に聞いてみるのがオススメです。
そして、この寿命を迎えたときの実効容量を調べるのと平行して、これまでの太陽光発電の1日当たりの最大売電量を調べます。
蓄電池と太陽光発電の「相性」をよくするためには、寿命を迎えたときの実効容量が、これまでの太陽光発電の1日当たりの最大売電量よりも大きくなるようにする必要があります。
最大売電量が大きい場合は?
寿命を迎えたときの実効容量が、これまでの太陽光発電の1日当たりの最大売電量よりも大きくなるようにするのが、余った電気をムダなく使うための理想です。
しかし、太陽光発電の面積が大きい場合は、1日当たりの最大売電量も大きくなり、必要とされる蓄電池の容量があまりにも大きくなってしまいます。
このような場合は、最大売電量を元に蓄電池選びをすると初期投資が大きくなりすぎて、経済効果が薄れてしまうので、蓄電池の容量を最大売電量より小さくして、売電と併用した方が経済的になります。
最大売電量の記録を使って、蓄電池の実効容量が何kWhの場合が、初期投資を早く回収できるかを検討する必要があります。
太陽光発電の最大売電量はどうやって調べるの?
蓄電池の実効容量を大きくして「自家消費のみで初期投資を回収する場合」と、蓄電池の実効容量を抑えて「自家消費と売電の併用で初期投資を回収する場合」のどちらの場合も、太陽光発電の最大売電量が必要です。
ご自宅の電力量計が、スマートメーターの方は簡単に調べられます。
スマートメーターの記録から、現在までの売電記録と最大売電量が分かります。
では、スマートメーターでない方はどのようにすれば良いのでしょうか
売電量は、太陽光発電が発電した電力量から、使った電力量を引いたものです。
売電量=発電量-消費電力量(太陽光のみ)
となるので、発電量が多いほど売電量も多い傾向があります。
ですので、発電量が多い日を調べることで最大売電量が分かります。
では、最大発電量を記録するのは、どのような時期でしょうか?
発電量は、次の2つの要素によって決まります。
1.日射量×日射時間
日射量が多ければ多いほど、日射時間が長ければ長いほど、発電量は多くなります。
この日射量と日射時間が最大になるのが、夏至の6月21日又は22日です。
夏至が雨や曇の場合は、夏至前後の晴れた日が、日射量と日射時間がともに最大となります。
2.太陽光パネルの表面温度
太陽光パネルは、表面温度が高ければ高いほど、発電効率が悪くなる特性があります。
そして表面温度は、日射量が多ければ多いほど、高くなる傾向があります。
そのため、夏至から7月にかけては、「日射量×日射時間」の条件は良いのですが、「夏の強い日差し」により表面温度が高くなって、発電量が落ちてしまうのです。
真夏のカンカン照りの時は、太陽光パネルの表面温度が高くなることにより、かえって発電量は落ちてしまうんですね。
では、最大発電量は、いつなの?
では、最大の発電量を記録するのは、いつでしょうか?
これまでの実績から最大売電量は、それほど気温が高くなくて日射量がある、5月に記録する場合が多いようです。
とは言っても、5月に最大発電量を記録するというのは、おおまかな傾向であり、実際の発電状況は、それぞれの太陽光パネルの設置状況によって違います。
正確な最大売電量を調べるためには、5月から8月頃までの、毎日の売電量の記録を取るのが良いでしょう。
実際に1日当たりの最大売電量を調べるためには、日ごとの売電量を記録する方法が考えられます。
電力会社から送られる売電量は、1ヶ月ごとなので、1日当たりの売電量は分かりません。
では、1ヶ月の売電量を、日数で割ればどうかというと、1ヶ月の統計では、曇や雨の日もあるので、平均してしまうと最大売電量は分かりません。
そこで、売電用電力量計の記録を毎日調べる必要があります。
売電用の電力量計の数値を、発電が終わった夕方以降の時間に毎日記録することで、毎日の売電量を調べることが出来ます。
そして、その毎日の売電量を記録することで、1年を通じての最大売電量が、分かります。
最大売電量を調べるためには、必ずしも1年間365日記録をする必要はありません。
日射量が増えて日射時間が長くなる、5月から、8月頃までの売電量を調べれば十分と言えます。
しかし、電気使用量が極端に少ない時期がある場合などは、5月~8月以外の時期に最大売電量を記録する可能性があります。
そして一年を通じての売電量の記録を取ることは、蓄電池を購入した時に、最大限有効活用するために役立ちます。
さらには、日々の記録は、太陽光発電のささいな不具合の夜発電量の低下がすぐにわかり、故障の早期発見・早期修理にもつながります。
ですので、余裕があれば、冬場も含めた1年間の売電量を記録することをオススメします。
固定買取期間終了後のシュミレーションも必要
固定買取期間数量後をシュミレーションして、晴れた1日で試験的に「なるべく昼間に電気を使う」使い方をして、売電量を比較することも、蓄電池選びをする上で重要です。
現在の売電量をなるべく多くする電気の使い方では、余剰電力が大きくなり、蓄電池の容量が必要以上に大きくなってしまうからです
そして余剰電力を減らす電気の使い方をしたときの売電量が、最終的に蓄電池に必要とされる容量となります。
そのためにも、今から売電量を記録しながら、「なるべく昼間に電気を使わない」場合と「なるべく昼間に電気を使う」場合の売電量を比較してみる必要があります。
毎日の売電量の記録がラクになるプレゼント!
最後に、スマートメーターを設置していない、読者の皆様に嬉しいお知らせがあります。
毎日の売電量の記録が、ラクになるプレゼントをしたいと思います。
日ごとの、売電量の記録用データーシートです。
エクセルの入ったパソコンがあれば、1日1回売電量の電力量計メーター数値を入力するだけで、日ごとの売電量の記録が作れます。
固定買取期間終了後のシュミレーションとして「なるべく昼間に電気を使わない」場合と「なるべく昼間に電気を使う」場合の売電量を比較も簡単にできます!
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