テスラ・パワーウォール 日本上陸!

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蓄電池の赤本の吉永健之です。

テスラ・モーターズの日本法人から、パワーウォールが来春から発売になることが発表されました。

テスラ製の蓄電池は、価格の安さで知られていますが、そのkWh単価や性能・スペックについて、具体的に取り上げたいと思います。

テスラ・モーターズとは?

パワーウォールを製造・販売するテスラ・モーターズとは、アメリカ合衆国シリコンバレーに本拠地を置く会社です。

社名の由来は、クロアチア出身で後にアメリカで活躍した電気技術者ニコラ・テスラ(1856年7月10日~1943年1月7日)にちなみます。

ニコラ・テスラは、電気を使う上で欠かせない、現在の「交流送電システム」の基礎を作った人物です。

テスラ・モーターズは、電気自動車の製造・販売からスタートして、自動車用蓄電池の技術力を蓄えてきました。

そして、その技術力生かして、家庭用の蓄電池や太陽光発電の製造・販売にも進出しています。

自動車業界の過酷な競争下で開発されたパワーウォール

パワーウォールは、自動車用蓄電池で磨きをかけた技術力を結集して開発された、家庭用蓄電池と言えます。

電気自動車用の蓄電池は、長距離走行を実現するために、求められるのが高容量化かつ軽量化です。

そして、走行時の振動や充電スタンドでの急速充電にも対応する必要があります。

また、ガソリン自動車との競争に勝つためには、蓄電池を含めたコスト削減も必須項目です。

パワーウォールは、このような自動車業界での過酷な競争下でしのぎを削って開発された、賜物と言えるでしょう。

パワーウォールの価格と性能

価格

99万円(税抜き):本体+制御機器(パワーコンディショナーなど)

※工事費は別で設置条件により異なります。

容量

13.5kWh(実効容量:放電深度100%)

公表されている容量13.5kWhに対して、放電深度が100%なので、公表容量がそのまま実効容量になると思われます。

電気自動車は、軽量化のため高い放電深度と寿命の両立が求められます。電気自動車用蓄電池で培った技術が生かされていると言えます。

寿命

10年

kWh単価

7.3万円/kWh(税抜き)

効率

充放電効率 90%

出力

最高出力7kW(ピーク)/5kW(連続運転)

拡張機能

Powerwall最大10台接続可能

動作温度

-20°C 〜 50°C

寸法

幅   :45.3cm

奥行き:29.6cm

高さ : 5.75cm

重量

114 kg

設置方式

設置床置きまたは壁掛け屋内または屋外

パワーウォールのメリットとは?

以上の価格・性能からパワーウォールのメリットを見ていきたいと思います。

価格のメリット

価格について、kWh単価(パワーコンディショナーなど周辺機器含む)で見ると、日本製蓄電池が安い製品でも20万円/kWhです。

それに対して、パワーウォールは7.3万円/kWh(税抜き)と、半額以下の値段です。

性能のメリット

1度に50Aまで使用可能

出力が、連続運転で5kWです。これは、50Aに相当します。つまり50Aの電力契約をしているご家庭で一度に使用できる電気と同等です。

50Aあれば、洗濯機や電子レンジなど、消費電力の多い電化製品も、ブレーカーが落ちるのを気にせずに使用可能です。

まる1日分バックアップ可能

電気事業連合会の統計によると、2015年度における1世帯当たりの1ヶ月の平均使用電力量は、247.8kWhです。これを、1日当たりに換算すると、8.3kWhです。

パワーウォールの容量(実効容量)は、13.5kWhで、上記平均の1.6倍あるので丸1日分の電気をバックアップできます。

大規模停電に備えて蓄電池の追加も可能

パワーウォールは、容量がもっと欲しいという場合にも、蓄電池の追加が可能です。

大規模停電に備えて、数日分の電気をバックアップしたい、と言う場合も、最大10個まで蓄電池を追加して並列運転ができます。

寒冷地や猛暑など過酷な気象条件にも対応

パワーウォールは、マイナス20°Cから50°Cまでの温度環境で使用可能です。

冬は-10度以下となる日もある北海道や東北地方の寒冷地や、40°Cを超える猛暑にも対応しています。

薄型の場所を取らない形状

高さ45.3cm、幅29.6cm、奥行き5.75cmと薄型の形状で、壁に掛けることもできるので場所を取りません。

外出先でもスマホでモニター可能

スマホアプリを使用することで、外出先など家の外でも充電状態などを、モニターで確認できます。

まとめ

以上、今回はテスラ・モーターズ社の蓄電池パワーウォールについて、取り上げました。

パワーウォールには、電気自動車用の蓄電池を開発する上で培われた技術力により、低価格と高性能を実現したと言えます。

私、吉永個人としては、エジソンのライバルで、現在の送配電システムの基礎を作った、ニコラ・テスラの精神も、テスラ・モーターズ社に受け継がれていると感じます。

ニコラ・テスラにつきましては、次の「電気の豆知識」で取り上げますので、ご興味のある方は、ぜひご覧下さい。

パワーウォールの情報につきましては、まだ公表されていない部分もありますので、情報が入りましたら随時更新して行きたいと思います。

電気の豆知識:交流送電の父 ニコラ・テスラとは?

発明王エジソンが最も恐れた男

ニコラ・テスラは、1856年に当時のオーストリア帝国 (現在のクロアチア) ゴスビッチ近郊の村 で生まれます。

テスラは、母国で工学を学び電気技術者としての経験を積んだ後、1884年にアメリカへ渡り、入社したのがエジソンが経営電灯会社です。

当時、白熱電球を発明したエジソンは、直流送電による電力事業を展開していました。

しかし、交流送電の将来性を有望視していたテスラが、エジソンに提案したのが交流による電力事業への転換です。

その結果、直流送電を譲らないエジソンと対立して、わずか数ヶ月で会社を辞職します。

エジソンの元を去ったテスラは、1887年にテスラ電灯社を設立して、開始したのが交流送電システムの普及事業です。

その後、直流送電を進めるエジソンと、交流送電を進めるテスラとの間での、競争は激しさを増し「電流戦争」と呼ばれるまでに発展します。

エジソンとテスラの「電流戦争」の結末は?

エジソンが、交流送電に反対するために展開したのが、その危険性を訴える広告活動です。

それに対して、テスラは交流が人体にとって安全であることを主張して対向します。

エジソンとテスラの両陣営では、様々な実験やデモンストレーションを行い、激しい広告合戦が繰り広げられました。

最終的に 電流戦争は、ナイアガラの滝での水力発電をめぐる競争で、テスラの交流送電が採用されて工業地帯への送電が開始したことで、決着します。

ナイアガラの滝での成功をきっかけに、テスラの交流送電が世の中に広く認められ、全米はもとより世界的に主流な送電システムとなりました。

意外に知られていないテスラの功績とは?

テスラは、現在の交流送電システムには欠かせない、高圧変圧器の発明をはじめ、発明家としても多くの功績を残しました。

テスラの発明がなければ、現在の交流送電システムを作る事は不可能なので、交流送電の父とも言えます。

その他にも、有名な発明ではラジオ放送には欠かせない無線トランスミッターや、無線操縦技術、電動モーター(誘導モーター)、X線などがあります。

どれも、私たちの生活に欠かせないものですね。

100年の時を経て、再び脚光を浴びるエジソンの直流送電

エジソンとテスラの電流戦争から、一世紀以上たった現在、エジソンの直流送電が再び脚光を浴びています。

現在、直流と交流の変換技術であるパワーエレクトロニクスの発達により、高電圧の直流を作る事が可能となりました。

これにより、高電圧の直流による長距離送電技術が開発され、北海道と本州間の送電などで、生かされています。

直流送電には、無効電力が発生しない、表皮効果による電線使用率のロスがないなど、交流送電にはないメリットがあります。

このメリットを生かして、再生可能エネルギーの普及をすすめる上でも、直流送電技術は大きな役割を果たすことが期待されます。

分散化電源システムが実用化されれば、地域内でも電力の融通は、ロスの少ない直流送電方式が有利です。

将来は、地域を跨いだ長距離送電は交流方式に、地域内でも短距離送電は直流方式にと、それぞれのメリット・デメリットを生かした直流・交流の併用が行われるかもしれませんね。

直流送電と交流送電、エジソンとテスラによる2つの偉大な発明は、100年以上の時を経て、将来の再生可能エネルギーの普及による、持続可能な社会に向けても、大きな役割を果たすことが期待されます。

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