明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
蓄電池の赤本の、吉永健之です。
年が明けて、平成31年になりました。
いよいよ平成最後の年ですね。
5月1日からは、新しい元号になり、平成も残りわずか4ヶ月となってしまいました。
今年は、新しい時代へのスタートを切る年とも言えそうですね。
新しい時代に向けて、電力業界でも、大きな動きがあります。
今年11月には、固定買取期間が終了となる方がでてきます(2009年10月以前に固定買取制度を開始した方)
固定買取期間の終了は、蓄電池の普及による自家消費の拡大と、それに続く次世代の電力供給システムの構築に向けての、新しい時代のスタートとも言えます。
そこで今回は、蓄電池の普及という観点から見た、新しい時代に向けてのエネルギーのあり方について取り上げたいと思います。
目次
「ブロックチェーン」がカギを握る未来の電力供給とは?
皆さんは、最近「ブロックチェーン」と言う言葉を、よく耳にされると思います。
ブロックチェーンがよくが分からなくても、「ビットコイン」を始めとする「仮想通貨」を運営する仕組みと言われれば「なるほど」と思われるでしょう。
仮想通貨においては、ブロックチェーンは流通する通貨を保証し、価値を与える役割を果たしています。
では、ブロックチェーンでは、どのようにして仮想通貨の価値を保証しているのでしょうか?
以下、江田健二氏著 「世界51の事例から予見する ブロックチェーン×エネルギー」からブロックチェーンの仕組みを引用します。
江田健二氏著 世界51の事例から予見するブロックチェーン×エネルギービジネス
ビットコインなどの仮想通貨取引でのブロックチェーンの利点とは、「離れた相手との取引を誰にも邪魔されず2人だけで素早くできる」ことです。少しイメージがわきにくい表現ですので、日本から地球の裏側にあるブラジルの友達にお金を送りたい場合を例として、ブロックチェーンの役割を確認しましょう。
日本からブラジルへの海外送金は、日本国内での送金に比べると多くのハードルがあります。ひとつは手数料の問題です。送金には、日本やブラジルの複数の金融機関の仲介が必要です。したがって、手数料の合計が1万円を超えることもあります。それに加えて、送金手続きには、金融機関で何枚も書類にサインしなくてはいけません。忙しいとき、銀行の窓口に並び、免許証を提示したり書類に記述したりと手続きが必要です。やっと振り込めたと思っても、相手に届くのは数日後になります。
ブロックチェーンを使う仮想通貨であれば、(金融機関などの)仲介者は必要ありません。送金手数料も数百円で済みます。ソファーに寝転びながら、自分のスマートフォンからブラジルの友達に送金することができます。しかも相手には1時間もしないうちに届きます。誰かが途中で送金を止めることもできません。明らかに今までよりも「早く、安く、確実に」送金ができます。
なぜ、このようなことができるのでしょうか?それは、ブロックチェーンが「国の信用力」と金融機関の「仲介業務」の2つの役割を代行してくれるからです。
江田健二氏著 「世界51の事例から予見する ブロックチェーン×エネルギービジネス」P18-20 2018年 (株)エネルギーフォーラム
江田健二さんの著書からも、このブロックチェーンの技術は、電気にも応用出来ることが推測できます。
「仮想通貨」を「電力」に置き換えた場合、ブロックチェーンが「国の信用力」と電力会社さんの「仲介業務」の2つの役割を代行してくれると言えます。
そして、ブロックチェーンによる電力取引が現実となるためには、「誰でも電気を作れる」ことが重要な要素です。
かつて昭和の時代には、発電事業は大規模な投資が必要なので、大手電力さんをはじめとする一握りの大企業しかできませんでした
しかし、平成に入ってからは時代が変わり、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの技術革新によって、今や家庭の屋根の上でも発電ができる時代に入りました。
自宅などに太陽光発電を設置した方々は、電気の消費者であると同時に生産者でもあることから「プロシューマー」とも呼ばれています。
現段階では、プロシューマーの方が作った電気は、大手電力会社が一括して買い上げています。
しかし、近い将来ブロックチェーンの技術が電気の送配電の分野にも使われるようになれば、プロシューマーの方をはじめとする個人間での電力取引も可能になるでしょう。
同書では、世界で行われているブロックチェーンの技術をエネルギービジネスに適用させている事例を紹介しています。
未来の電力供給システム「デジタルグリッド」とは?
次に、このブロックチェーンを活用した新たな時代の電力供給システムを提唱している、阿部力也さんの著書「デジタルグリッド」をご紹介したいと思います。
阿部力也氏著 デジタルグリッド
筆者が同書を見つけたのは、仙台へ出張中の時でした。
仙台駅前の大きな書店で、エネルギー関連の本を探している時に目にとびこんできて、思わず衝動買いしてしまいました。
読んでみると、これまでの「スマートグリッド」とは一線を画す新しい内容で、この「デジタルグリッド」が将来の電力供給システムを担うことを確信しました。
電力とエネルギーの分野に、興味のある方にはぜひ、おススメの一冊です。
デジタルグリッドの著者、阿部力也さんとは?
著者の阿部力也さんは、2009年に次世代の電力供給システム「デジタルグリッド」を考案され、東京大学でその研究をされていました。
2017年に、デジタルグリッドを実現するため東京大学を退官され、同名のデジタルグリッド株式会社を設立して会長に就任されました。
デジタルグリッドとは?
阿部力也さんが考案されたデジタルグリッドは、ブロックチェーンの技術を「電気の送配電」の分野に適用させる技術です。
現在、日本の電力供給システムは、電力会社ごとに大きく10個の系統に分かれています。
デジタルグリッドでは、この10個のブロックを地域ごとにより細かく分けることで、それぞれの地域の電力系統が独立性を保ちながら、電気のやりとりができるようになるそうです。
それぞれの細かく分けたブロック内では、従来の交流で電気のやりとりをし、ブロック外の他の電力系統とは直流で電気のやりとりをします。
これにより送配電トラブルが原因の「波及事故」による停電の被害が、大幅に減少することが見込まれます。
仮に「ブラックアウト」が発生したとしても、小さなブロック内のみで治まり、他のブロックに波及することはありません。
デジタルグリッドの実現により、これまでの電力供給システムの弱点を、大幅に改善されることが期待出来ます。
さらには、デジタルグリッドの実現により、再生可能エネルギーの弱点である不安定さが軽減されることで、そのさらなる拡大が期待出来ると同時に、再生可能エネルギーを利用した地方創生の促進など多くのメリットがあります。
そして、ブロックチェーン技術により電気を識別できるようになることで、個人間での電気の売買も可能となります。
地域内での電力のやりとりがより活発に
デジタルグリッドが実現すれば、地域内での近距離での電気のやりとりがより活発になると予測されます。
というのも、電気は遠くへ送れば送るほど「損失※」が増えてしまうからです。
※詳細は、文末の電気の豆知識3「送電距離と損失の関係とは?」をご覧下さい
長距離送電による損失を抑えるため、可能な限り地域間での電力のやりとりを行い、足りなくなった場合のみ、他の地域から電気を融通するようになるでしょう。
現在、試みが始まったばかりの「電気の地産地消」が、本格化することになります。
デジタルグリッドの実現に向けて、阿部力也さんとデジタルグリッド株式会社さんの今後の動きに注目したいですね。
2019年には、いよいよデジタルグリッドの実証実験が開始するそうです。
デジタルグリッド(株)さんとイオングループのミニストップさんの共同で、埼玉県の浦和美園地区で行われるそうです。
実証実験の詳細は、環境ビジネスオンラインさんの記事「ミニストップ、デジタルグリッドの電力融通決済システムの実証に参加」をご覧下さい。
参考文献 阿部力也氏著 「デジタルグリッド」 2016年 (株)エネルギーフォーラム
エネルギーの新たな時代に向けて、蓄電池の果たす役割とは?
そして、ブロックチェーンを活用した電力供給システムを構築する上で、蓄電池は大きな役割を果たします。
再生可能エネルギーの大きな弱点は、天候に左右されるため不安定である点です。
そのため、火力発電のように電力需要に合わせて出力調整することができません。
ブロックチェーンの最大限に活用することで、再生可能エネルギーの不安定さは軽減されるでしょう。
ブロックチェーンにより、「発電した電力」と「必要とする人」を繋げることで、需要と供給をこれまでより近づけることができます。
しかし、不安定な再生可能エネルギーの電力と供給を完全に一致させることは難しいでしょう。
どうしても、電気が余ったり、足りなくなったりする場合が出てきます。
電気が余っているときに蓄電池に貯めて、足りないときに蓄電池から取り出すことが必要となってくるでしょう。
そこで、各家庭に分散して配置した蓄電池が、大いに力を発揮することになります。
普及拡大により価格が下がる蓄電池
現在の蓄電池価格は、100万円~200万円のものが多く、小型自動車を買うのと同様の高価な買い物です。
テレビや冷蔵庫などの、電化製品のように、一家に一台となるにはまだまだ高く、経済的余裕のある方がメインとなると思われます。
しかし、経済的余裕のある方が購入することで、大量生産によりコストが下がり、値段が下がってくると予想されます。
今や1家に1台以上は当たり前となったテレビも、昭和の時代に普及始めた頃は高額商品でした。
テレビがある家は「お金持ち」でした。
そこで、見たいテレビ番組を見るためにテレビのある家にお邪魔することもあったそうです。
大晦日恒例の紅白歌合戦も、1家どころか数家族で一緒に見ていた時代があったんですね。
現在の蓄電池は、昭和の時代のテレビと同じ
現在の蓄電池も、昭和の時代に普及し始めた頃の、テレビと同じではないでしょうか。
ブロックチェーンによる個人間の電力取引が実現すれば、「余った電気は蓄電池のある家庭に売って貯めてもらい、足りないときは蓄電池のある家庭から買う」ということもあるでしょう。
やがて、蓄電池の値段が下がれば、テレビと同様に一家に一台という日も来るでしょう。
そうなれば、外出などで電気を使わずに余ってしまい蓄電池に貯めきれない場合などは、ご近所の空いている蓄電池に貯めてもらうこともあるかもしれません。
逆に、蓄電池が空いている場合は、ご近所で貯めきれない電気を貯めることもあるでしょう。
かつて、昭和の時代に醤油や味噌が足りなくなった時に、ご近所から分けてもらっていました。
同じように、平成の次の時代には電気をご近所同士で分け合う日が来るかもしれません。
昭和の古き良き時代の「おすそわけ」の習慣が、最新の「デジタルグリッド」の技術を通じて、平成の次の時代に復活するかもしれません。
将来、電気は時間や天候で価値が変わるように
再生可能エネルギーの普及が進めば、時間や天候によって、電気の価値が変わることが予測されます。
太陽光発電の普及が進めば、晴れた発電量の多い時間帯は、電気の価値が下がります。
逆に、曇りの日や夜間は電気の価値が上がります。
風力発電も同様で、風の強い日に電気の価値が下がり、風の弱い日には上がります。
このように、再生可能エネルギー全体の発電量と需要の状況に応じて、時間帯により電気の価値が変動するようになるでしょう。
そうなると、蓄電池の重要性はますます高まってきます。
というのも、蓄電池に貯めた電気を「価値の高い時間帯」に売電することで、より多くの売電収入が得られるようになるからです。
現在、スマートメーターでは、30分単位で使用電力量データーを計測しています。
スマートメーターの普及がさらに進み、デジタルグリッドが実現すれば、30分単位で電気料金が設定されるかもしれません。
現在の株取引の様に、電気の取引が行われるようになるかもしれませんね。
そうなると、蓄電池は「電気を安いときに貯めて高いときに売る」ために重要な役割を果たすでしょう。
まとめ
ブロックチェーンの技術が、電気の送配電に応用されると、これまでの電力供給システムの弱点が改善され、再生可能エネルギーの更なる拡大が期待できます。
そうなると、蓄電池の重要性はますます高まることが予想されます。
蓄電池は、ブロックチェーンでカバーしきれない再生可能エネルギーの不安定さを、調整するという重要な役割を果たすでしょう。
そして、蓄電池の値段が下がり、一家に一台の時代が来れば、個人間での電気のやりとりは活発となり、現在よりも柔軟な環境に優しい送配電システムが構築され、全電力を再生可能エネルギーで賄うことも夢ではないでしょう。
私たち、蓄電池の赤本は、蓄電池の正しい情報を発信することで、その普及拡大による価格低下を応援すると同時に、再生可能エネルギーの普及による、環境に優しい持続可能な社会づくりを目指します。
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電気の豆知識3
送電距離と損失の関係とは?
電気が電線を流れるとき、電気抵抗により一部が「損失」として熱に変わります。
送配電では、この損失をいかに減らすかがポイントとなります。
そこで現在の電気の送配電システムは、損失を最小限にするように設計されています。
損失は、電気抵抗に比例して大きくなります。
電気抵抗は、以下の3つの要素によって決まります。
ρ :電線の電気抵抗率 L:電線の長さ A:電線の断面積
電気抵抗Rと以上の3つの要素との関係は、以下の式で表わされます。
R=ρL/A
まず、電気抵抗を減らすためには、ρの電気抵抗率が小さい銅などの金属が送電線に使われます。
そして電気抵抗は、電線の長さに比例し、断面積に反比例します。
つまり、断面積が大きければ大きいほど、電線の長さ(送電距離)が短かければ短いほど、電気抵抗を減らすことができます。
しかし、断面積が大きくなれば電線が太くなり、電線費用がかさむばかりか電柱も重みに耐えられるようにしなければなりません。
送電線を支える、電柱や鉄塔の建設に大規模な投資が必要となります。
電線の長さ(送電距離)も、発電所離れた都市部に電気を送るためには、長距離送電が必要です。
そこで、長距離を電線を可能な限り細くしつつ、損失を減らす方法で送電が行われています。
実は、送電線の電圧が高い最大の理由は、長距離送電による損失を最小限にするためなのです。
送電線の電圧が高いワケとは?
電気事業法では、電圧を以下の3つに区分しています。
低圧:交流600V以下の電圧(直流750V以下の電圧)
高圧:交流600Vを超える電圧(直流750Vを超える電圧)
特別高圧(特高):交流・直流とも7000Vを超える電圧
※低圧と高圧の境界が、交流と直流で異なるのは、交流が「実効値」ではなく「波高値」で見ているため
長距離送電に使われる電圧は、特別高圧です。
高い所では20万Vを超えます。
低圧や高圧の電線は、感電や漏電を防ぐため、通常ゴムなどの絶縁物で覆う「絶縁」の処置をしています。
しかし特別高圧になると、電圧があまりにも高いため絶縁の処置が難しいので、絶縁物で覆われず「裸電線」で引かれています。
しかも特別高圧では、電線に触れなくても近づくだけで「絶縁破壊」という現象により、本来は絶縁物である空気中を電気が流れて、感電してしまいます。
※筆者も大学時代に電気工学実験で、「絶縁破壊」を目の当たりにした時は、衝撃を受けました。
雷も、電圧が高いため「絶縁破壊」により空気中を電気が流れる現象です。
そのため、特別高圧の電線は感電事故を防ぐため、人が近づかない場所に引かれています。
ここで何で、そんな危険な特別高圧の電圧で電気を送るのか?
絶縁処置ができる、高圧でもいいのではないか?
と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
実は、特別高圧にするのも、長距離送電による損失を最小限にするためです。
前述の、電線の損失を表わす式は、電線の損失をP 電線を流れる電流をI 電線の電気抵抗をRとすると
損失=I²R
の式で表わされます。
この式から、電流Iを小さくすると、損失を減らせることが分かります。
しかも、電流を2分の1にすれば、損失は4分の1、電流を3分の1にすれば、損失は9分の1と、電流の2乗に反比例して損失は小さくなります。
電流を小さくしつつも、全体として送電する電力が変わらないようにすれば良いわけです。
消費電量と、電流の関係は
消費電力:Pは、電圧:V 電流:I 力率:cosθ とすると
※力率(cosθ)は交流電力特有のもので、通常は80%以上
P=VIcosθ
で表わされます。
そこで、同じ電力を消費地に届ける場合に、損失を減らすためには、電流を小さくした分電圧を大きくすれば良いことがわかります。
電流を半分にした場合は、電圧を2倍に、
電流を3分の1にした場合は、電圧を3倍に
すれば、同じ電力を送れます。
つまり、電気を遠くに送るためには、電圧が高ければ高いほど、損失を抑えられるため、数万ボルト以上の「特別高圧」が使われるのです。
送配電で重要な役割を果たす変圧器(トランス)とは?
発電所で作られた電気は、変圧器(トランス)という電圧を変える装置で、特別高圧に昇圧され、送り出されます。
そして特別高圧の電気は、消費地の近くの変電所で、変圧器を通って「高圧」に降圧されます。
さらに、ビルや工場には高圧のまま送られて、ビルや工場内の変圧器で低圧に降圧されます。
一般家庭の場合は、電柱の上にある柱上変圧器で、低圧に降圧されて家の中に引き込みます。
このように発電所から、変電所を経てビルや工場一般家庭に電気を送るまでに電圧は、特別高圧、高圧、低圧と大きく変化します。
そこで、送配電において電圧を変える「変圧器」は重要な役割を果たします。
そして、変圧器でも電圧を変える時に「損失」が発生するので、いかに効率を上げるかが課題となります。
変圧器(トランス)の原理
変圧器は、鉄心とコイルで構成されています。
コイルは1次側と2次側に分かれ、1次側のコイルの巻き数と2次側のコイルの巻き数の比率で電圧を変えます。
変圧器では、1次側から入力した電圧を、コイルで「磁場の変動する力」に変換します。
「磁場の変動する力」は、鉄心を伝わって2次側のコイルに伝わり、再び電圧に変換されます。
ここで、1次側のコイルの巻き数と2次側のコイルの巻き数に応じて電圧が変換され
1次側電圧/2次側電圧=1次側コイル巻き数/2次側コイル巻き数
となります。
例えば、6600Vの高圧から100Vの低圧に電圧を落とす場合、
1次側電圧/2次側電圧=1次側コイル巻き数/2次側コイル巻き数
=6600V/100V=66となります。
変圧器(トランス)の損失とは?
変圧器の損失は、コイルで発生する「銅損」と鉄心で発生する「鉄損」の2つです。
銅損は負荷損とも呼ばれ、コイル(主に銅線)の抵抗による損失で、電流に比例して大きくなります。
鉄損は無負荷損とも呼ばれ、主にヒステリシス損と渦電流損で、電流の大きさに関係なく一定です。
古い変圧器(トランス)の交換は省エネ効果抜群
変圧器は、全ての電気が通る関所です。
鉄損や銅損などの損失を減らすことが、省エネにつながります。
変圧器は、可動部分がないので寿命が長く、30年以上使われている場合もざらにあります。
10年、20年と経過すると、技術革新でより高効率の変圧器が開発されています。
エアコンや冷蔵庫も、年数の経過したものを交換した場合の省エネ効果が高いのと同様に、古い変圧器の交換による省エネ効果も期待出来ます。
2003年4月1日に施行された省エネ法でも、トップランナー制度により、古くなった変圧器を最新の「トップランナー変圧器」に変えることを奨励しています。
変圧器という機材は、テレビや冷蔵庫のように脚光を浴びることがありません。
しかし、全ての消費電力が通過する重要なポイントであり、効率の高いものに交換することで、大きな省エネ効果が期待出来ます。